人質の朗読会 小川洋子 著海外の日本から遠く離れた名前も一度聞いただけでは言えないような村で日本人ツアー客が反政府ゲリラの人質になる。物語の最初に結末は提示される。8名の人質はダイナマイトの爆発で全員亡くなる。ここであることが起こり物語は展開する。犯人グループの動きを偵察するため盗聴していたテープが公表される。人質だった亡くなった人たちの朗読会(書いたものを感情を込めて音読すること)が録音されていたテープだ。どういういきさつかはわからないが、人質の8名は各々一度文章を書いて、それを暇つぶしも兼ねて朗読をしている様子が記録されていた。一部引用「いつになったら解放されるのかという未来じゃない。自分の中にしまわれている過去、未来がどうあろうと決して損なわれない過去だ。それをそっと取り出し、掌で温め、言葉の舟に乗せる」この本でしか味わえない気持ちになる。よもやま話だが実はICU高校の国語で出題されたことがある。込み入ったプロットなのでメタ認知力が訓練しないと、何が起こっているのか?なんの話かわからなくなる。ただ面白いステキな出題だ。ICU高校やICU大学の出題はそんな簡単なものではない。本当に学問的基礎があり、学習しないと太刀打ちでない。しかしキリスト教系の作家を出題しやすい傾向がある。小川洋子、結城浩(ICU高校の図書館にはサインが飾ってある)、森本あんりetcただ物語としてとても好きだ。受験きっかけでも文学や物語に興味を持ってもらえたらうれしい。#読書 #受験生