人気

アメジスト
読書記録です。
バロック美術
西洋文化の爛熟
宮下規久朗 著
中公新書
著者は特にカラヴァッジョについて専門にしており、カラヴァッジョについての解説は特に詳しく書かれています。
バロック美術の特徴である明暗の対比はカラヴァッジョが発展させたこと、カラヴァッジョの作品は幻視を表現したものであり、光源を絵の中に描かないのは、展示されている教会に差し込む現実の光の効果を計算しているものであり、それによって画面に臨場感を与え、奇蹟が実際に目の前で起こっているようなヴィジョンを与えているそうです。
バロック美術というのはローマでのカトリック改革による宗教的熱情から生まれたものであり、信者に対する分かりやすさ、主題の現実的解釈と写実性、感情への刺激を特色とするものだそうです。
そのため、宗教と密接な関係があるため、その中心地であるローマを中心とする教会建築や教会美術のカラー写真を数多く掲載されており、バロック時代の宗教的熱情に思いを馳せる内容となっています。
まさに西洋の美術が頂点を極めた時代がわかる内容となっています。
#読書
#読書感想文
#西洋
#美術
#バロック


アメジスト
読書しました。
王の二つの身体(上・下)
E・H・カントーロヴィチ 著
小林公 訳
ちくま学芸文庫
ボリューミーな内容ですが、名著です。
王には二つの身体がある、それは自然的な生身の身体と、もうひとつは政治的な不可死のシンボル的な身体だそうです。
この国王二体論は16世紀イングランドにおいて特徴的なものだったそうです。
なぜイングランドなのか。
コーク卿が引用した『ブラクトン』の有名な一説。
「王自身は、人間の下にではなく神と法の下になければならない。なぜならば法が王を創るからである」というのがあります。
コーク卿の時代
法学の分野においては、正義は依然として父なる神と不可分であったとしても、祭壇の神とは同一視されていませんでした。
また、正義は神格化された国家に未だ従属されてはいませんでした。
正義はそれ自体において生ける徳であり、法=正義の時代でした。
もうひとつは、アリストテレス-アヴェロエス主義の現世の永遠性の概念がどこまで影響されているのかは別として、「自然的身体」から「政治的身体」論への発展としては時間の永遠性が自覚されたことが重要であるようです。
そうすることで、連綿たる王朝の永遠性が保証され、王がその体現者、不死鳥に例えられる単独法人として捉えられ、ここに個々の王の「自然的身体」からは独立した、非人格的な「政治的身体」が秩序の基盤となる国家になるそうです。
#読書
#読書感想文
#歴史
#西洋
#中世



アメジスト
読書しました。
西洋音楽史講義
岡田暁生 著
角川ソフィア文庫
軽快な語り口で中世、ルネサンス、バロック、ウィーン古典派、ロマン派、後期ロマン派、世紀転換期から20世紀へと西洋音楽の歴史がつづられています。
クラシック音楽を聴きたくなる内容となっています。
バロック時代の音楽の王侯貴族のイベント向けにつくられているからこその緩さと、その中で時々見せるキラメキが好きですね。
ヘンデルの『水上の音楽』とかJ・S・バッハの『ブランデンブルク協奏曲』とか、バロック音楽特有の華やかさというのがありますよね。
#読書
#読書感想文
#西洋
#クラシック
#歴史


アメジスト
読書記録です。
哲学史入門Ⅰ
古代ギリシアからルネサンスまで
斎藤哲也 編
NHK出版新書
インタビュー形式の本文となっており、初学者にも読みやすいように配慮されています。
第1章は古代ギリシア・ローマの哲学について納富信留氏に、第2章は中世哲学について山内志朗氏に、第3章はルネサンスの哲学について伊藤博明氏にインタビューをしています。
それぞれの時代の哲学の面白さが分かりました。
各先生方の著作を読んでみたくなりました。
第1章において、ソクラテスの無知の知は正しくは「不知の自覚」であると言うべきだというのは目からウロコでした。
ソクラテスは、さまざまな人と対話しながら「知らない」ということを検証している最中だから、「知らないことを知っている」という状態ではない。あくまでも、自分が「知らない」と思うことを、確認し続けていくことがソクラテスの哲学であった。
だから「不知の自覚」であるだそうです。
第2章において、『神学大全』を執筆した聖トマス・アクィナスの真の画期は、「主文」や「異論反駁」といった大学の討論スタイルを整え、学問の標準スタイルを整えたことにあるそうです。
第3章において、ルネサンスの面白さは神秘思想やオカルト的な思索も流行った百花繚乱なところにあると認識しました。
それぞれの時代における考え方を学ぶ面白さを感じることができました。
#読書
#読書感想文
#哲学史
#西洋
#ルネサンス

関連検索ワード