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ちくわ🍢
「はい、どうぞ。」
「いいんですか?」
「はい、後ろにもまだありますし。」
「あ、すみません。」
「いえいえ、そういうことありますよね。」
「ありがとうございます。…、どこかで聴いたことある声、、」
「え?」
彼女の目線がスマホの画面へと移る。まずい、グラビティの画面を点けっぱなしにしていた。
「…、あなたがポンズさんだったのね。ねえ、覚えていない?中3の時のこと。」
「あ…。」
「久しぶりだね。こんにちは、私がちくわです。」
嘘だろ…。ちくわって女だったのか…。どう考えても男のような感じがしていたけど。まあ、ネカマは普通にいるからな。ちくわが女性であっても不思議ではないか。しかし、まさか、こんなところで出会うとは思わなかった。
「うん、今は広島にいるんだね。」
「仕事の関係でね。今回はライブでこっちに来たの。イカさんも元気?」
「音声ルームで話しているから分かると思うけど、元気だよ。」
「よかった。ねえ、今度食事しようよ。」
「ああ、ていうか、近くにいるよ。イカさん。なんなら。呼んでみるか。」
イカさんへ電話する。
「イカさん。」
「はい。ていうかなんで、電話でイカさん?」
「ああ、ちくわがいるから。」
「え、会ったの?」
「偶然ね。」
「イカさんも知っている人だよ。こっちに来て食事しないか?」
「うん、わかった。今から出るから少し時間がかかるかも。」
「OK。」
#ストロベリーカフェモカ #小説 #グラビティ

ちくわ🍢
ちくわのほうへ振り返る。あの様子なら10分ほどで着くだろう。それまでどうするかな。そういえばカップが車内にあるな。
「そういえば、他のカップもいるんだっけ?」
「うん。イカさんからもDMが来たんだけど、それ以外を買ったからね。」
「じゃあ、車内のやつを取りに行ってくる。」
「ついていくよ。」
「流石に会社の車だからばれるとよくない。」
「ああ、そうね。じゃあ、ここで待っているよ。」
急いで取りに行く。あんまり長く待たせるとよくないだろうから。イカさんから電話がかかってくる。
「着いたよ。」
「わかった。駅で待ち合わせしよっか。」
「了解。」
ローソンまで走っていくと彼女は外で待っていた。
「寒くなかった?これがカップね。」
「ありがとね。大丈夫だよ。」
「イカさんが駅に着いたらしいから駅に行こう。」
「うん。」
彼女は私の隣を歩く。中学生の時に時間が巻き戻ったみたいだ。
「え?ちくわ?」
「こんにちは、イカさん。」
「まさかの女性…。」
「しかも中学生の時の友達だよ。」
「…、あ。」
イカさんも気が付いたらしい。
「じゃあ、ご飯食べに行くか…。」
イカさんが若干後ろを歩いている。どうしてだろうか。
「そういえば、ポンズさん、これ。」
彼女から手渡されたのはチョコレート。
「え?」
「さっきのお礼だよ。」
「いや、でも…。」
もらったものは高級なものであることがわかる。
彼女は少し嬉しそうに私の横を歩いている。シャッターを切る音が後ろから聞こえた。
「よい雰囲気だから、後ろから写真を撮ったよ。」
終
画像:ぷぉんず
著:ちくわ
監修:ポンズ・イカ
#ストロベリーカフェモカ #小説 #グラビティ


ちくわ🍢
SNSを開く。いつもの通り、宇宙のマークのアイコンをタップする。このアプリはグラビティ。このグラビティは無料でできる通話アプリ。営業の仕事で運転が主の私は暇な時、このようなアプリをいくつもやってきたが、ここまで長く続いたのはグラビティが初めてである。対面でしゃべることが苦手な私にとってはこのSNSでの音声だけでのつながりというのは非常に心地よい。もめごとはあるが、それは音声でも人間関係なのだからある意味当たり前。そこを除けばいろんな人に出会えるし、会う危険性もなく楽しめるのだから十分である。
ただ、気になるのはこの名前。ちくわ。この人、どこかで聴いたことのあるような声をしている。声の似ている人は多くいるけど、人生の中で似ている声は案外少ない。好きになった声は全員、覚えているがそれでも似すぎている。まさかとは思う。この狭い音声の世界で知っている人がいるとは到底思えない。
「最近、ポンズさんは元気がないね。」
「え?そう…?」
「なんかそんな感じがしたから。」
幼馴染のイカさんに感づかれている。そういえば、イカさんにちくわの声が誰かに似ていると言ったっけな。昨日のことはあんまり覚えていないのだよな。よくみんなに怒られる。覚えようとしても忘れてしまうのだ。だからこそ、似ている声も思い出すことができない。遥かに前だろうから、覚えているわけがない。
『そうなの?まあ、確かに少し声が低いけど。』
「聞いていて分かるものか?そして、ちくわはまたトイレか?」
『そうだけど?』
「仕事しろよ。」
#ストロベリーカフェモカ #小説 #グラビティ

ちくわ🍢
「ちくわ、それはもう発売しているの?」
『発売しているよ。すでに。』
チルドっていうとここの棚か。ん、普通にあるのだが。これだよな…。ちくわからもらった画像を見てみる。やはり、このチルドカップで合っている。
「ちくわ、これだよな。」
音声ルームに写真を貼る。
『ちょっ、ちょっ、早よ買って。』
「普通にあるじゃん。ないとか…、いや、武道館前はないよな。流石に。ていうか、売り切れだったら、それで問題だろうしね。」
『どうでもいいから、早よ買って。』
「どうでもいいってな…。あー、どうしよっかな?」
『早よ、早よ。』
コメントが少し気持ち悪くなってきたので買ってやることにする。本当にヨルシカのことが好きなのだろうな。それだけはこのコメントで十分に伝わる。会計を済ませて、穴をあける。あ、飲んでよかったっけ…。
「ちくわ、飲んでもよかったっけ?」
『私はコーヒーを飲めないからどうぞ。』
そういえば、ちくわはカフェインアレルギーって言っていたな。ストロベリーの味ほんのりして美味しい。そういえばどうやって彼に渡そうか…。ま、それはあとで決めるか。会社の電話がかかってくる。対応していると、どうやらすぐに行く必要がある。
「一旦、ここで閉じます。またあとで。」
…、ちくわ、ローソンないって言っていたけどこっちは思ったよりもあるな。ここにも入ってやるか…。チルドカップ…。画像を見る。さっき買ったのはこっちか…。では、こっちを。
「あ…」
後ろを見ると女性が立っていた。彼女の目線の先にはヨルシカのチルドカップがある。
「えっと何か…?」
「それ、私にくれませんか?最後の一個なんです。」
どこかで聴いたことある声だな…。
#ストロベリーカフェモカ #小説 #グラビティ

ちはる
#CanDo #限定に弱い #ストロベリーカフェモカ #CRAFTBOSS

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