#映画 #Gravity映画部 #ヒッチコック #イングリット・バーグマン #競馬 1946年公開『汚名』ヒッチコック初の恋愛ドラマにして当時人気が頂点だったイングリット・バーグマンの主演作。相手のケーリー・グラントの方が主人公で、名前も上に表示されるが。FBIに協力するヒロインは魅力を武器にドイツのスパイに近づくが、主人公との愛に板挟みになる。仕事を優先する男の態度に苛つきながら任務を全うする女。お互いの愛がすれ違いながらもスパイを追いついめていくが…銃もナイフも出てこないのに、観客を恐怖させる手腕は『レベッカ』でも書いた通り。主人公もヒロインも、行動がやたら大胆(かつ杜撰)なので観ている側はハラハラさせられる。ラスト近くヒロインが逃走を図る際の主人公とスパイの心理戦の緊迫感はまさに圧巻である。また、サスペンスとラブストーリーの融合は珍しいものでもないが、交互に切り替わるのではなく相互に絡み合う計算し尽くされた構成が素晴らしい。イングリット・バーグマンの主演作は何本も観ているが、これほど美しい横顔を持つ女優もなかなかいない。割としっかりした骨格の持ち主だが、彼女の気品をむしろ引き立てている。操作に協力する際は豪胆なところを見せるが恋する男の前では意地を張り素直になれない女を好演している。当時の厳しい規制を掻い潜った“伝説のキスシーン”は小粋で官能的。大人の男女が交わす、余裕たっぷりな情熱が映像としてもオシャレだった。なお…下記画像は劇中で競馬場に来る場面。ヒロインの洗練されたファッションは競馬場が貴族の社交場として発展した欧米文化ならでは。