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ペインター
夕暮れの土手道 4 (ラスト)
「私は東京、勇人は大阪だね。」
「うん。」
いつの間にか夕日は更に傾き、二人の影を伸ばしていた。
「…こんな風にさ、影がどんどん伸びるように…これから、私たちは、もっともっと大きくなっていくのかな。」
手をぐっと伸ばして、影をもっと大きくして亜子が言う。
「そうだね。地元を離れて、大学へ進んで。未来なんてこれからじゃない?俺たち。
何になるかなんて、何者かなんて、ぜーんぜんわからない。
今はさ、人生のほんの入り口じゃん。」
学校とか、家とか、今まではそれが世界の全てだったかもしれない。
知らないだけ。
世の中や、人生はもっともっと広くて大きいこと。
新しく始まる世界に、不安が無いわけじゃない。でも、それ以上に希望や期待、ワクワクがある。
自分たちは、もっと大きくなる。大人になっていく。
「じゃ、そろそろ行くね。」
亜子は笑顔で言う。
「うん、亜子も…元気で。」
勇人も笑顔で応える。
「1年間、ありがとう。」
「こちらこそ。」
ぎゅっと、握手して。
パッと離して。
「じゃあね、勇人。バイバイ。」
手を振る亜子。やっぱりかわいいなと思う。
「バイバイ。」
重なっていた、二人の時間と道の終わり。
亜子は、少し上を向いて、足取り軽く歩いていく。
振り返りはしない。
そんな亜子の姿を少しだけ見送って。
「ありがと、亜子。…バイバイ。」
もう聞こえてないが、勇人はもう一度言った。
そして、踵を返して歩きだす。
輝く夕日が二人を照らして。

コメント
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ペインター 投稿者
以上です 全部読んで頂いた方、誠にありがとうございます🙇 …恥ずかしいですね😅こーゆーのは。投稿しといて何に言ってんの?ですけど🤣 そして、自分で書いて思ふ。 これは…面白いのか??🤔