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ただくまー

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『僕とキリン、その剥製と取締』

「くまーくん、まあ、座って」
近藤取締に呼び出され、ぼくは革張りの椅子に腰掛けた。部屋は古めかしい調度品で満たされていて、窓際にはキリンの首のはく製があった。おそらくワシントン条約以前の品だから、50年以上前のものかな?と考えていたら、唐突に本題を切り出された。
「これってどういう意味?」
と同時に、天井からスクリーンが降りてきて、こんな仕組みがあったことに驚く。そして映し出されたのは、ネット記事だった。
「NPU対応LLM『DeepSeek R1』の7B/14Bが追加されたので試してみた」
取締は真顔で僕を見つめてくる。
「これは、最新のAI技術に関する記事でしょうか…NPUというのは、Neural Processing Unitの略で…」
「ニューラルって脳みたいなものか?」取締は首を傾げた。
「LLMって何だ?ローン・ライフ・マネジメントか?」
「いえ、Large Language Modelの略で、ChatGPTのような」
「チャットGPT?私もつかっているぞ。先日、孫に教えてもらって俳句を作らせた」
「さすがですね。そのGPTをもっと効率よく動かすための専用チップがNPUなんです」
「専用チップって、ポテトチップみたいなものか?」
取締はにやりと笑った。冗談のつもりらしい。
「ははははははは…」
この時間をなんとかしたい、僕は機を急いだ。
「こう考えてください。CPUが『指揮者』です。NPUは『AI専門の奏者』、ソリストです。その他、いろいろなパーツがオーケストラのようなチームワークによってパソコンが…」
取締は目を輝かせた。
「オーケストラか。くまーくん、ブラームスは好きかな?」
これは明らかに暇つぶしだ。
取締にとっては「NPU」と「CPU」の違いも、「ひまつぶし」と「ひつまぶし」の違いも、中華AIのヤバさもどうでもいいことであろう。
「よろしければ、この件、私のほうで預からせていただきますので、追ってレポートいたします」
「そうか、いや、すまんね。楽しみにしているよ」
取締は満足げに微笑んだ。明日には彼の記憶からこの件は消え去るだろう。彼の背後のキリンが、どこか諦めたような目で僕を見ている気がした。
部屋を出る際、取締役に向けたフリをしながら、キリンに向かって小さく頭を下げた。

「君だけは分かってくれるよね」、と。
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コメント

killchin

killchin

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中国共産党のナチスが科学技術を盗むのは卑劣で恥知らずだと思います![大泣き]

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ただくまー
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ナチョス好きです[照れる]
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