共感で繋がるSNS
GRAVITY

投稿

小説ニキ

小説ニキ

夜のカジノは熱気に包まれていた。
カードがめくられるたびに歓声が上がり、ルーレットの回転音が心地よいBGMのように響く。
 そんな中、一際目立つ男——黒髪の長い髪を無造作に束ねたニモは、積み上げたチップを眺めながらニヤリと笑った。
「よーし、今日はツイてるぜ!」
 隣に座っていた金髪の美女がニモに微笑む。
「運がいいのね、私にも分けてほしいわ」
「もちろん♡でもその代わり、君のハートももらっていい?」
 軽くウインクを飛ばすと、美女はくすくすと笑った。
「ふふ、面白い人ね」
 そんな甘い空気の中、ニモはカードをめくる。
「じゃあ、全部いくか!」
 テーブルの上に大量のチップを投げ出し、ディーラーと最後の勝負に出る。
 場の空気が一瞬張り詰めた。そして——
「バーストです」
「……は?」
 ディーラーの冷静な声が、ニモの脳に直接響く。
「お客様、全てのチップを失いました」
 静まり返る周囲。ニモはぱちくりとしたあと、乾いた笑いを漏らした。
「ハハ……いや、ウソだろ?今のは見間違いじゃない?」
「現実を受け止めてください」
 そこへ、カジノのオーナーらしきスーツ姿の男が現れた。
「ニモさん、借金、どう返してもらいましょうか?」
「……ま、待て待て。まだ終わっちゃいねぇだろ?」
「いいえ、終わりです」
 スーツ男が指を鳴らすと、屈強な借金取りたちがズラリと並ぶ。
「逃げるのはナシですよ?」
 一瞬の沈黙。
「お前がそう思うならそうなんだろうな……お前ん中ではな!」
 そう叫んだ瞬間、ニモは全速力で逃げ出した。

「待てコラァァァ!」 「誰が待つかー!」
 夜の街を駆け抜けるニモ。その後ろを借金取りたちが鬼の形相で追いかけてくる。
「クソッ、なんでこうなるんだよ!」 「お前が全部賭けたからだろうが!」
 必死に路地裏を駆け抜け、ニモは突然ポケットからカエルを取り出した。
「くらえ、カエルアタック!」
 カエルを投げる。ピョン、と軽やかに跳ねるが、当然ながら借金取りには何の影響もない。
「……なにしてんだオイ」 「……ワンチャンあるかと思ったんだよ!」
 絶体絶命かと思われたその時、ニモは見覚えのあるバーの扉を発見。勢いよく飛び込んだ。
「ナモちゃーん!ツケで酒一杯!」

#初投稿 #小説 #オリキャラ #短編小説
GRAVITY3
GRAVITY46

コメント

つよし

つよし

1 GRAVITY

金髪の美女が、グルでウインクが合図?、最後にお前が全部賭けたからだろうが!やもう1人の誰かから何かしら言っているのは金髪の美女?、会話形式で臨場感がありその場の風景を予想できますね。

返信
さかな

さかな

0 GRAVITY

なんでカエル🐸だよ 笑

返信
小説ニキ
小説ニキ
かわいっしょ🫶
0 GRAVITY
関連する投稿をみつける
小説ニキ

小説ニキ

静かなジャズが流れるバーの中、グレーの髪を持つ男——ナモがカウンターでグラスを拭いていた。  彼の肩には、同じ色をした蛇が絡みついている。
 ナモは一瞬ニモを見た後、ため息をつく。
「……また借金か?」
「ちょっとばかしな!まあ、ツケで!」
「お前の“ちょっと”はいつも致命傷なんだよ」
 借金取りたちがバーの前まで来たが、ナモが軽く手を上げると、彼らは苦い顔をして引き下がった。
「お前がここにいるってことは、ナモさんがなんとかするってことか?」
「違ぇよ。こいつは今、現実逃避しに来ただけだ」
 ナモは冷めた目でニモを見ながら、新しいグラスに酒を注いだ。
「で、今度はいくら負けた?」
「まあ……小さい額だよ、うん」
「……」
「たぶん」
「……」
「いや、思ったよりデカいかも?」
「お前、今すぐ死んだ方が楽じゃね?」
 ニモは苦笑いをしながら酒をあおる。
「愛してるよ♡ナモちゃん」
「うるせぇ、さっさと飲め」

グラスを傾けながら、ニモはふと昔のことを思い出した。  
カウンターの向こう、ナモのシルエットが、どこか彼女の姿と重なって見える。
『お金ってさ、ある時はただの紙切れなのに、ない時はすごく重くなるよね』
 白金色の長い髪が揺れる、優しい笑顔。
「……はは、そういや、そんなこと言ってたな」
 甘い記憶。だけど、それは過去のもの。
「ま、今さら思い出しても仕方ねぇか」
 ニモは残った酒を一気に飲み干した。
「さて、そろそろ金を稼がねぇとな!」

その後、再びギャンブルへ向かうニモ。
「今度こそ取り返すぜ!」
 しかし、開始3分でまたしても大敗。
「終わったぁぁぁ!!!」
 その瞬間、ニモのカエルがピョンと飛び跳ね、偶然にもディーラーの手元にあった札束をひっくり返した。  
紙幣が宙を舞い、気づけばニモの前に札束の山。
「……おい、これって……?」
「……まさか」
 借金取りが頭を抱えて言う。
「こいつ、本当に運だけは持ってやがる……」
 ナモが酒を飲みながら、ポツリとつぶやいた。
「……バカは死ななきゃ治らねぇな」
(完)
GRAVITY2
GRAVITY5
小説ニキ

小説ニキ

ナニモ3
バーの扉が静かに開く。ナモがカウンター越しに視線を向けると、常連のゆきみがカウンター席に座っていた。彼女の表情はどこか暗く、明らかに様子がおかしい。
「ゆきみ、どうした?」
ナモが静かに声をかける。ゆきみは少しだけ目を伏せ、ためらいがちに口を開いた。
「……ちょっと、面倒なことになっちゃって……」
ナモがさらに言葉を促そうとしたその時、バーの扉が勢いよく開いた。
「よぉ、ナモちゃん! 愛してるよーん♡」
黒髪をひとつに束ねた男、ニモがいつもの調子で店に入ってくる。ナモは呆れたようにため息をついた。
「ちゃんを付けるな。ニモ。」
「いーじゃん可愛いし!俺らの仲だろー?」
ニモはカウンターに肘をつき、ゆきみをちらりと見た。
「で? 美女がそんな顔してどったの?」
ゆきみは少し迷った後、意を決して話し始めた。
「好きな人に貢いでたんだけど、騙されてたみたいで……このままだと……」
ナモとニモは顔を見合わせる。
「そりゃまた厄介な話だな。」ナモが呟く。
「まあ、美女の頼みは断れないねぇ。」ニモが笑いながら言う。
「けど、その相手ってどんなやつなんだ?」
ゆきみの表情が曇る。
「……強い人。すごく……この界隈じゃ有名で……。」
その言葉にニモはニヤリと笑った。
「へぇ、面白そうじゃん。なぁ、ナモ?」
「俺たちに任せてくれないか?」
ゆきみは少し心配そうな表情を浮かべる。
「……でも……大丈夫なの?」
ニモが軽く笑い、肩をすくめる。
「当たり前じゃん!だって俺ら『ナニモ』だぜぇ?」
ナモはその言葉に眉をひそめ、不服そうに口を開く。
「それ、やめろって言ってんだろ。」
「名付けたの俺じゃねぇもん!それに可愛いし良くね?」

ゆきみの不安げな顔をよそに、2人は笑いながらバーを後にした。
GRAVITY
GRAVITY2
宇宙人

宇宙人

その日、宇宙人は筋トレをやりきった。

とっとっとっ…と早い鼓動が宇宙人の健闘を讃えているかのようだった。浅く息を弾ませながら宇宙人は立ち上がる。
ぷるぷると震える脚は、まるで生まれたての子ヤギのように脆弱だった。宇宙人は小さく苦笑し、鈍ってしまった脚を撫でる。サボっていたツケを感じた。自業自得だな…と独言ち、手すりに掴まりながら進んでいく。しかし不思議と晴れやかな心持ちだった。筋トレというのは人の心を再生させる効果があるのかもしれない。痛めつけられた筋肉たちはまるで宇宙人を励ますかのように、新たなる再生の日を目指して小さく蠢いていた。

宇宙人はさっぱりと乾いたタオルで汗を拭きながら窓を覗く。冬枯れの街はまだ日に照らされていた。今日という日を完璧な形で終えたい…珍しく欲が出たので、お豆腐買いに行くことにした。

外は爽やかな涼しさで、今日が小春日和であることを教えてくれる。宇宙人はうっすらと瞼を伏せて日光の暖かさを味わった。いつもの道をいつものように進み、静かな面持ちで角を曲がる。お豆腐屋ののれんをくぐると、気のいいご主人がいつものように迎えてくれた。宇宙人は柔らかな挨拶を交わし、静かにご主人の目を見て言った。

…👽キヌイッチョウクダサイ🔲

もう過去は振り向かない、体重のことだけ考えよう…
そんな決意に溢れた声音だった。
宇宙人は静かなスタートを切ったのだ、と自分を少し誇らしく感じたのだった。
アイヨっという威勢のいいご主人の声と、渡された絹どうふが、宇宙人の未来を支えていた。

〜完〜

#短編小説
#小説風
#小説
#暇潰し
GRAVITY12
GRAVITY30
小説ニキ

小説ニキ

翌朝、まだ空が暗い時間。
ナモの店のカウンターには、淹れたてのコーヒーの湯気が立ち昇っていた。店の中は静かで、まだ誰も来ていない。
「おはよーさん。」
ニモが店の扉を開けて入ってきた。
寝癖を直す気配もなく、そのままカウンターの席に腰掛けると、ナモは黙ってコーヒーカップを差し出した。
「やっぱナモちゃんのコーヒーは最高だなぁ♡」
一口飲んで満足そうな表情を浮かべるニモ。そんな様子を見ながら、ナモはニモの髪を結び、時計に目をやる。
「そろそろ行くか。」
「お、やる気満々だねぇ。いいねぇ♡」
ニモはカップを空にして立ち上がると、ナモの肩を軽く叩いた。ナモは黙って店の鍵を閉め、二人は街の外へと向かうため、車へと歩いて行く。
エンジン音が静かな街の空気を震わせる。車の中はまだ薄暗く、ヘッドライトだけが道を照らしていた。
「しかし、朝早すぎね?まだ星出てんだけど。」
「遠いからな。」
「ま、俺は助手席でぬくぬくと過ごさせてもらいますわ〜♡」
そう言ってニモがシートを倒そうとすると、ナモが片手で制止する。
「……寝るなよ。」
「んだよー。寂しがりやさんかよー。」
ニモは悪戯っぽく笑い、車は静かに走り出した。
GRAVITY
GRAVITY2
もっとみる
関連検索ワード

夜のカジノは熱気に包まれていた。