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わかばグモ
結婚相手ができないことに対して悲壮感を描くのではなく、世の中のふわっとした暗黙の共通認識みたいなものを、違う角度から面白く突付いて行こうとする試みが作品の中に溢れている
たとえば、19年前はひとりで焼き肉に行く人はなんとなく『寂しい人』という暗黙の共通認識が強かったと思うけど、今の時代ひとりで焼き肉に行っても、そんな人はいっぱいいるのだから『寂しい人』にはならなくなった。世の中の分母が変わると共通認識なんて簡単にひっくり返ってしまうということを、2006年の時点でコメディ作品として昇華させていた
僕も丁度この作品が放送されていた頃の2006年からひとりカラオケをするようになったんだけど、当時はまだ『ひとカラ』や『ワンカラ』なんて言葉はなく、ひとりで入店すれば店員に嘲笑され、白い目で見られていたような時代だった
でも僕は歌うことが好きだったから、気まずさはあったけど、それが孤独なことだとは感じていなかった。別に誰かに歌をきかせる訳じゃないから。そもそも目的や主語が違う。大勢で行く娯楽の場所だという認識って、誰かが勝手に思ってるだけの曖昧な括りだから。当時は『変なひと』だったけど、もうひとりでカラオケに行くこと自体が市民権を得て『変な人』ではなくなった
最近ではディズニーランドのようなテーマパークでもひとりで行く人もいる。この流れだと多分そう遠くない未来には、ひとりでテーマパークを楽しむガイドみたいなもの(アプリとか)が開発されて、ひとり用の楽しみ方のガイドラインができると僕は思っている📱
孤独でいることが悲惨でかわいそうで惨めだという認識は、世の中の分母を過剰に気にしてるだけだと思う。ただの洗脳。寧ろ、ひとりで自分の人生や物事を楽しめる人というのは、とても豊かな心を持っているという証だと思う。日本人はたぶんそういう人がいっぱいいるはずだから、ひとりでいることに対して悲観せずこれが自分のスタイルと自信を持てばいい
『結婚できない男』はコメディだけど、そんなことも同時にさりげなく投げかけているようにも感じた。ただ騒音問題の描写だけは、あれは全く現実的ではないから、テーマとして関与していない部分の描かれ方は全く無頓着ではあった[冷や汗] けどなかなかよくできてる作品だとは思う
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