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こんにちは。
読書しました。

DNAとはなんだろう
「ほぼ正確」に遺伝情報をコピーする巧妙なからくり
武村政春 著
講談社ブルーバックス

だいぶ噛み砕いて説明されてはいますが、DNAについての話はやはり難解です。
ただp154で解説されている、胎盤を形成する遺伝子は、もともとはレトロウイルスの遺伝子が生殖細胞のゲノムに取り込まれたものだというのは、とても興味深かったです。
第6章の動く遺伝因子「トランスポゾン」というのはとても興味深いです。
トランスポゾンというのはヒトゲノムの4割ほどを占めるもので、その中でも特にレトロウイルスが由来とされるレトロトランスポゾンというのは、DNA上でやをおこなう、「動く遺伝子」と呼ばれるものだそうです。
このようにして書き換えられた遺伝子が生命の進化の原動力になっているのは、とても奥が深い世界だなと感じました。
トランスポゾンによるやは無造作に行なわれているにも関わらず、「進化の原動力」になっているというのは、まるで神の見えざる手に導かれているかのような神秘さをも感じます。
#読書
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#DNA
#遺伝子
#進化
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こんにちは。
読書しました。

土と生命の46億年史
土と進化の謎に迫る
藤井一至 著
講談社ブルーバックス

まず、本書冒頭で、土とはなにかについて定義されています。
土とは岩石が崩壊して生成した砂や粘土と生物遺体に由来する腐植の混合物である。
この土をつくることがいかに難しいかということを250ページかけて語るのが本書のテーマとなっています。
第一線の研究者による著作だけあって、新しい知見がいろいろ述べられており、勉強になります。

第3章では、奄美大島において、ストッキングに詰めて森林の中に埋められた岩石粉末や火山灰が、40年の時を経て掘り出され、腐植によって「土のようなもの」に姿を変えていたという感動のエピソードが載っています。
腐植とは実は枯葉の残骸程度のものではなく、半分は死菌体由来の物質であり、非常に多数の微生物によって分解されたものである、団粒構造になっているのは、ミミズが食べてフンをすることで出来上がったものであるそうです。
第5章においては、フルーツの争奪戦に負けて、西アフリカの熱帯雨林から東アフリカの草原へと生活の場を変えたサルが人類の祖先であるという興味深い説が述べられています。
幸運なことに新天地の東アフリカの草原地帯は肥沃な土地で、直立二足歩行で両手の自由を得た人類の祖先は、ユリ根を食べるようになり、どこでも生きられるように雑食性に進化したそうです。
第7章においては、人工土壌を開発する可能性の展望を述べる一方で、都市部で問題となっている食品ロスによる食品廃棄物を発酵して生成されるメタンガスを火力発電に用い、できた堆肥を農業に利用するという循環型社会の可能性について述べられています。
現代の人口爆発や、ニューヨークや東京といったコンクリートジャングルという名の廃墟の拡大は、人類滅亡への序曲であるという時代にあって、土と共に生きる生物としての原点を問うというのは人類の未来を問うことであるように思います。
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#人新世
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こんばんは。
読書しました。

SF脳とリアル脳
どこまで可能か、なぜ不可能なのか
櫻井武 著
講談社ブルーバックス

主に神経科学を専門とする医学者である著者が、SF作品でお馴染みの設定についての実現可能性を考察した内容となっています。
第1章は人体のパーツを機械化する「サイボーグ」について
第2章では脳に電子デバイスを埋め込んで外部と情報をやりとりする「電脳化」はどこまで可能なのか
第3章では脳の機能を全て電子デバイスにして、「意識を移植する」ことははたして可能なのか
第4章では宇宙旅行や未来旅行を扱うSFでおなじみの「コールドスリープ」や「人工冬眠」について。その実現可能性は脳が鍵を握っていた。神経科学を第一線で研究している著者だからこその見識が述べられていて面白いです。
第5章ではSF作品では「記憶の書き換え」はしばしば使われるプロットだが、実現可能性についてはどうなのか述べられています。

後半部では第7章において、実はぼーっとしている時でも脳はフル稼働しており、「脳は10%しか使っていない」はウソであることについて解説しています。
第8章では、2023年に中国の国立生物学研究所において、マウスが眠ると溺れてしまうという環境をつくって、完全な断眠をさせたという実験について取り上げられています。睡眠をとらないとなぜ死んでしまうのかついて興味深い考察がなされています。

いわゆるSFにありがちなサイボーグだの電脳化だのは現時点では実現可能性は低いという見解になんとなくホッとしました。
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#SF
#近未来
#神経科学

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こんばんは。
読書しました。

学びなおし!数学
代数・解析編
黒木哲徳 著
講談社ブルーバックス

教養として数学について学びたいなと思って読みましたが、数式については全然理解できませんでした。
ただ、例えばp68に載っている「余りで余りを割っていく」ことで最大公約数を求めるというユークリッド互除法の鮮やかさなど、数学の魔法の素晴らしさは感じました。
p219~220では定積分を用いて球の体積を求めており、
p225~229ではニュートンの運動方程式の2階の微分による方程式で、放物線の方程式を求めています。
難解ですが、数学について学んでみたいと感じさせる内容でした。
ただ単に方程式などの解説をするだけでなく、それがどういう意味をもっているとかまで解説されているのがよかったです。
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#代数・解析
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こんにちは。
読書しました。

みんなの高校地学
おもしろくて役に立つ、地球と宇宙の全常識
鎌田浩毅
蜷川雅晴 著
講談社ブルーバックス

序章において
著者の専門である南海トラフ巨大地震や富士山噴火において述べられています。

南海トラフ巨大地震は2030年代に起こる可能性が高い
その災害規模は東日本大震災より1桁大きい
富士山噴火を誘発する可能性がある

1995年の阪神・淡路大震災の発生以降、内陸地震の活動期に入っており、2011年の東日本大震災で千年ぶりの「大地変動の時代」に入ったそうです。今後、日本列島でさらに内陸地震が増えてピークに達した時、そのクライマックスとして南海トラフ巨大地震が起こると予測されるそうです。
1940年代に起きた昭和東南海地震、昭和南海地震のあと、阪神・淡路大震災が起きるまで、大地震がほとんどなかったのは地震の静穏期だったおかげで、もう今はすでに「大地変動の時代」であり、災害からできる限り身を守るために知識をつけることが、本書の狙いだそうです。

本書の前半部は、著者の専門分野と重なる地球内部の構造、プレートテクトニクス、地震の仕組み、火山の仕組み、地球を形づくる岩石の成り立ちについて、地層の成り立ちなどについては詳細に解説されており、「減災」のための実用知としても役に立つ内容となっています。
一方、後半部の大気・海洋・天文については、著者の専門から外れるためか、おおむね教科書的な記述に終始しています。
ただ、それでも人類の存在基盤としての地球を知るための入門書としては十分な内容となっています。
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こんにちは。
読書しました。

日本列島はすごい
水・森林・黄金を生んだ大地
伊藤孝 著
中公新書

地学的、地理学的な観点から日本列島の成り立ちについて解説されている内容となっています。
自然の恵みの豊かさも天災の恐ろしさもすごいのが日本列島なんだということがよく分かりました。

日本では「山々の木は、伐採したあとすぐ植えれば、30年で元に戻る」と言われていますが、世界的に見れば決して当たり前のことではないそうです。
日本列島では「降雨量の多さ、黄砂による地力の回復、土壌の若さ」などのおかげで、樹木の再生が早いそうです。
また、「他の地域では多くの土地の森林を荒廃させる原因となった、草や若芽を食べてしまうヤギやヒツジがいなかったこと」も日本列島がはげ山にならなかった理由の一つだそうです。

大陸の東、大洋の西の中緯度、大陸からの距離はさほど遠くなく、間氷期には大陸と列島の間を暖流が横切るという環境が豊富な天水をもたらしているということが第4章で解説されています。

また、日本列島には火山が多いです。
なぜ火山が多いのか。
地下100kmにおいて、水がない状態では1500°Cくらいにならないと岩石は溶け始めないが、水があるとそれよりも500°Cも低い条件で岩石が溶け、マグマを作りはじめるそうです。
日本列島はプレートの沈み込み帯であり、プレートの沈み込み帯というのは、プレートとともに水も沈み込むため、この水がマグマをつくる原料となり、日本列島は火山列島となっているそうです。第3章で解説されています。
この火山の噴出物が土壌のもとになっているため、日本列島は土壌が若いのだそうです。

お隣の朝鮮半島はなぜはげ山になってしまったのか。森林が回復する日本列島とは何が違うのか。
その分かれ目は、地球科学的な変動帯に属しているか否かだそうです。
朝鮮半島はすでに先カンブリア時代に安定化した大陸で、安定大陸では岩石が風化され土壌が形成されたあと、それはなかなか更新されません。
日本列島は新しい変動帯で、火山噴火、断層運動、地すべりなどで、風化していない岩石が地表に現れ、その岩石の風化によって新たにミネラルが供給されることで、森林の回復を促すそうです。

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こんにちは。
今日は午前中はお散歩して7000歩あるきました。
そのあとはクラシック音楽をかけながら読書しました。
そこそこ身体を動かして、そこそこのんびりして、そこそこ趣味に打ち込むというのが、個人的には一番充実しますね。

読書記録です。

在野と独学の近代
ダーウィン、マルクスから南方熊楠、牧野富太郎まで
志村真幸 著
中公新書

ダーウィンは実家が裕福だった。
マルクスはスポンサーがいたり遺産があったりした。
牧野富太郎や柳田国男は自らの官の立場を利用して在野の研究を糾合した。
それぞれが恵まれた立場で学問をしていたなかで、南方熊楠の独学を追求して枠組みに囚われないラディカルさが印象的でした。
本書では紹介されませんでしたが、在野の知識人といえば、松岡正剛にも憧れますね。
徹底した知識欲を追求して、従来のやり方をひっくり返すような生き方は僕にはできませんが、憧れるなぁとは感じました。
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こんにちは。
読書しました。

アメリカ黒人の歴史
奴隷貿易からオバマ大統領、BLM運動まで
増補版
上杉忍 著
中公新書

アメリカ黒人は、想像以上に苦難で過酷で多大な犠牲を歩まされてきたということを知ることが出来ました。
公民権運動で政治的な差別はなくなったのかなと思いきや、貧困に捨て置かれる経済的、社会的差別は続き、21世紀に入っても蔓延する麻薬や警察暴力の犠牲になり続けているという悲しい歴史が続いているようです。
インナーシティの荒廃など現代アメリカの暗部についても解説されているのがよかったです。
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こんにちは。
読書しました。

夢ひらく彼方へ ファンタジーの周辺
渡辺京二 著
平凡社ライブラリー

本書は、2019年に著者が熊本市の書店で講義したことをもとに、口述筆記した講義記録です。
前半部では、『ナルニア国物語』とその著者C・S・ルイス、『指輪物語』とその著者トールキン、『ゲド戦記』とその著者ル=グウィンについて、詳細に語られています。
この3つのファンタジーは、現代における神話の再創造に成功しているという意味で、ファンタジーの最高峰に君臨しており、その世界観も地に足が着いており、奥深いものがあります。

また、最終講で、G・K・チェスタトンについて取り上げていたのはとても興味深かったです。
僕もチェスタトンの『聖トマス・アクィナス』は読みましたが、作家としての機知に富んでいるところや諧謔というのはこういうことなんだなと感じさせました。

チェスタトンの言葉として
現実の人間の歴史を通じて、人間を正気に保ってきたものは神秘主義である。
心に神秘をもっているかぎり、人間は健康であることができる。
平常平凡な人間がいつでも正気であったのは、いつでも神秘家であったためである。一方の足を大地に置き、一方の足をおとぎの国に置いてきたからである。
狂人とは理性を失った人ではない。狂人とは理性以外のあらゆる物を失った人である。
が引用されていますが、
ファンタジーというのは、まさに心を正気に保つための心の栄養剤なのかもしれませんね。
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こんにちは。
読書しました。

独仏関係史
三度の戦争からEUの中核へ
川嶋周一 著
中公新書

本書は、第二次大戦後のフランスとドイツ(西ドイツ)の関係、主に政治的な関係を紐解くことで、国際社会の平和や秩序の維持というのものは、関係各国の不断の努力によるギリギリの綱渡りによって成り立っているということを展望した書物です。
表題の三度の戦争というのは、普仏戦争、第一次大戦、第二次大戦のことで、この時代の独仏関係というのは、先祖代々の宿敵でした。
それが第二次大戦後は冷戦という構図の中でフランスと西ドイツは和解に向かい、EUという秩序に埋め込まれることで、はじめて独仏関係は安定を得ることができました。
ドイツ人やフランス人の政治的な意識は決して一体感というものはなくて、お互いに過去を乗り越えるための努力、葛藤、両国間の微妙な政治的感情や英米との関係、ロシア問題など非常に複雑で多層的な国際政治の力学の上に成り立っていることが分かりました。
フランスとドイツの間では二国間の共同閣議というのもおこなわれており、動乱や戦争を回避して外国同士が協調するためには、ここまでやらなければならないのかというのも感じました。
平和のための不断の努力というのは日本にとっても学ぶことが大きいように思います。
#読書
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#平和
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こんばんは。
承認ありがとうこざいます。
読書記録です。

埴輪は語る
若狭徹 著
ちくま新書

『日本書紀』には、殉死の風習を嘆いた乗仁天皇が、野見宿禰の意見を取り入れて出雲の土部(はじべ)に埴輪を作らせて古墳に置き、人の死に替わらせたする伝説が載っています。
しかしながら本書のp98の解説によると、考古学的には人物埴輪の登場が埴輪の中で最も遅いため、この説は否定的に捉えられており、ホッとしました。
この伝説は、古墳づくりや倭王の喪葬に関わった土師氏の祖先伝承として後付けされたものと考えられているそうです。

埴輪は、古墳の一画に据え置かれた展示物でした。
なかでも人物埴輪は、群像として配置されており、何らかのストーリーが込められていたと考えられます。
それを筆者は、古墳の主である「王」の治世のようすを、「絵巻物のように」ビジュアル化したものだとする説を唱えています。
第1章や第3章で、保渡田八幡塚古墳の埴輪を例に、人物埴輪は、王の祭祀、王の狩猟、王の武威、王の経済力を示したものであると考察されています。
著者は、古墳時代の王は、司祭者であり、武人であり、経済人であったので、王の多様な権能を表すために、様々な群像を配置したと解釈されています。

自然環境の変動は「神の仕業」と信じられていた古代において、地域の王は、民のために神を祀って環境を安定させ、悪神が里に災いをもたらさないように務める使命を帯びていました。
また、農地の実りを保証し、遠来の物資を確保し、最新技術を移入して地域を富ませなければならない宿命を負っていました。
埴輪群像は、この世を去った被葬者のそうした生前の事績を示し、それをみる共同体の人々に認知させるための仕掛けだったというのが、著者の結論となっています。
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