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ボエボエ症候群
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七瀬琴葉@小説
この世界に『生きている』と確信を持って言える存在というのは、ただ一つ、私だけだ。
他は、もしかしたら私が作り出した幻想なのかもしれない。
『こんな人が居たら、人生が豊かになる』だとか、『こう言ってくれたら、成長に繋がる』だとか、そんなことを考えているから、その人が存在して、そう言うのかもしれない。
これは、私がもし死んだら、と考えていた時に思いついたことだ。
だから、私が死んだらこの世界は、まさしくシャボン玉のように儚くなくなってしまうのではないか。そう思うのだ。
それはなんとも申し訳ない。
私の妄想の中では、みんなは『生きている』のだ。ただすれ違っただけの人の人生を、無駄にしてあげたくはない。
だから、私は死のうとするのを諦めた。
ただのお人好しだ。
…と、こんなに偉そうに言っているが、私は別に賢い訳では無い。なんなら、そこら辺の人よりも馬鹿なくらいだ。中学校すらまともに行っていないような人間がこんなことを、自分がこの世界の主人公であるかのようなことを、言える立場ではない。
…そう考えたら、どうでもよくなった。
言ってしまえば、みんな魂のないお人形さんだ。私がすれ違った何万人も、存在してるかも知らない何十億人も全部、私以外は人形なのだ。
ならば、私が死んでも何万、何十億の人形がなくなるだけではないか。
さらに、もしこの説が間違っていたとしても、存在している何十億人が死なずに生きていくだけだ。
…私が死んでも、なにも悪いことはないではないか。
こんな事を考えていると、より深く考えたくなってくるのが人間だ。
私は、神は存在すると思っている。
それがどんな神かなんざは知りもしないが、その世界の『運命』を操る、彼彼女、もしくは彼ら彼女らは存在するだろう。
またしても私の持論だが、この世界の筋書きは決まっているのだと思う。

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