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澪(みお)

澪(みお)

「この体は要らないよ」と女性の声がした。
わたしは透明なカプセルの中で目を覚ます。
ビルは倒れ、あちこちで煙が上がっている。
人の姿はどこにもない。
しかし、部外者がやってきたのは明白だった。
「新しく作り変えてあげる。そうすれば、あの方の目にも止まるようになれるよ」

途端にカプセルがすごい勢いで空中に飛び出した。極彩色の記憶の破片がわたしから引き離されていく。
不思議と痛みはなかった。わたしの体は透き通った抜け殻のように残されて、微粒子になった意識だけがカプセルの外に投げ出されてしまった。

「じっとしていなさい」
そう言われても、わたしにはどうすることもできない。サラサラと音がして何かが降ってくる。体温の名残り。誰かの気配。

静かに記憶が混ざっていく。
「いち、に、さん、し、ご…、」
上書きではなく、ミックスだろう。
5人分の意識。自分が自分ではないのに「わたし」になっていく。

「そして、次の体はこれだよ」
見えない手にすくい上げられカプセルに流し込まれる。
中には水ともオイルともつかない溶液が満たされていて、すぐに皮膜になっていく。
わたしは人の形をした「何か」になった。

「ほう…上手くできたじゃないか。喜ばしいことだ」
空からハ響く声に「神さま」だと直感した。
ところがわたしの目の前にいたのは、蒼い大きな竜だった。
「まだ触れてはいけません。もう少し風に当てて形が固まらないと壊れてしまいます」
竜の隣でよその星のロボットが困っている。

「承知している。『生まれた』ばかりの生命がやわいことも」
皮膜ごと新しいカプセルに入れられ、何重にもカプセルで覆われながらその度にカチリと鍵がかけられる。

輪郭がしっかりしてくるといろんな音が聞こえ始めて混乱した。
「怖いのか?大丈夫だ」
竜が優しく語りかけてくる。
「私と散歩に行こう」
ふわりと持ち上げられると柔らかな羽根で包まれた。 
竜が羽ばたく。赤いレンガの街並みが遠くなっていく。もうこの星とはさよならだ。
眠くてたまらない。

最後に見たのは竜の優しい笑顔と、大気圏通り過ぎた時の青い空気。
新しい世界にも空があったらいいな。
願いながらわたしは眠りについた。


#夢の話 #遺伝子組み換え #ファンタジー
#生まれ変わり
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コメント

澪(みお)

澪(みお) 投稿者

3 GRAVITY

軽くメモするつもりが1時間近くかかってしまいました。 眠くて眠くてとけそう。あと一時間半、寝直します。おやすみなさい。

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KIKI

KIKI

1 GRAVITY

澪ちゃんの夢の話好き♡あっ、おはよーございます(小声)

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「この体は要らないよ」と女性の声がした。