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のりしお

のりしお

※忘れたくないので記すだけ。

職業柄、高齢者と携わることがある。
女性・90代間近の80代。
色白で小柄なので若く見える。

認知症ではあるが意思疎通ができる。
ヘソを曲げるとコミュニケーションの難易度が高くなる。

元々、食が細く少量の食事で満足する。
本人は『大食いだ!』と言い張る。
若い頃から華奢の身体がコンプレックスだったようだ。

最初は目を瞑って『(起きるの)嫌です』と言っていたが
いつしか無言で意思表示をするようになっていた。
この時点では、腕に力が入るのを確認して「ボイコットだな」と確信する。

機嫌よく目覚めが良い日は
心配損だと思わせてくれるほど肌艶よく
はっきり好き・嫌いを伝えてくれる。

日が重なるたび
色白も相まって「ボイコット?リアルなやつ?」と不安のほうが大きくなっていった。

寒さにも慣れてきた冬。
いつもの車椅子でミンナとご飯を食べたいと希望してミンナと過ごした。
一つ違うのは、器を持ったままボーッとしていたこと。
一口食べてもらったが直ぐに吐き出した。
痰も吐き出すことが多くなった。

元陸上部の彼女。
ボロボロの靴でも一等賞になった実力派。
体力にも自信があった彼女。
大好きなスポーツ番組を見た翌日にこの世を去った。

今、思えば『食べたくても、飲み込めない』が近かったかもしれない。
痰もだせるけど飲み込めない。
 
大げさかもしれないけど
起きるのも、食べるのも、
最期まで『挑戦』するあたり
実力派らしい彼女の意地のようにも思う。

ドキドキさせられたのはもう一つ。
最期を見届けるには、同意などの準備が必要なのだが、
彼女の場合は準備を前にこの世を去った。
正直、『今でしたかー』である。

改めて、命のタイミングの難しさを知ることになる。

※「(去る人は)旅立つ日、時間を決めている」と聞きます。
男性は誕生日を越えた日を選び
女性は誕生日を超える前を選ぶ。
彼女もその一人。

最期の最期までヒヤヒヤさせられたけど
きっと彼女も寝ているつもりかもしれません。

大好きなお父様のもとへ無事に着いていますように。
 
ビビりなので、お盆の日に遊びに来てくださいね。

合掌。
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